痛みを数値化する事は難しい
私は5日間だけ、インフルエンザの後遺症で入院した経験があるが、この時医者や看護師から尋ねられて一番困った質問が
”How much does it hurt?In a range of 1 to 10,1 as the lowest and 10 as the highest level."
どのくらい痛いですか?1から10で答えて欲しい。1が一番痛くない、10が一番痛いレベルだ。
という質問だ。
私は神経の炎症反応があったので常に体が痛かったが、何故か点滴治療を始めるまでは軽い筋肉痛のような痛みだけのような気がしていた。
(まあ、退院してからは死んだ方が楽と感じるほどの痛みだったが...)
勿論歩いたり体を動かせばもっと痛くなるけれど、ベッドに体を横たえている状態ではその痛みレベルはせいぜい2とかそれぐらいに感じていた。
運動をしていた事があって足底筋膜炎になった事もあるし、物凄く酷い筋肉痛になった事、それに加えて指の剥離骨折をした経験もあるのでそのときの痛みと比べるとあまり痛くないように感じてしまう。
私が自分の痛みレベルが2だと答えると、
看護師さんが首を傾げながらこう言った。
「あなたって、日本人だったわよね。だからあなたが2って言うんだったら5くらいの可能性があると思う!もう一回考えて答えてみて!!」
普通に困った....
そういう風に言われると3,4くらいの気もしてきた。
自分の感覚を数値化する事がここまで難しい事だなんて入院する事になって初めて実感した。
良く考えると当たり前の事かもしれない、
だって0の基準点って人によってまちまちで正解がないんだから、
0をどこに定義するかがそもそも難しい....
私はその看護師の言葉を少しだけ信じ、
0点を1つだけ変化させて痛みレベルを3にした。
点滴治療が始まった。
すると驚いた事に、看護師が急ぎ足で私に痛み止め薬と水を運んできた。
こちらで有名なPanadol(パナドール)というメーカーの薬だ。
彼女の話では3も痛みがあれば普通は我慢できないという。
私の感覚では5過ぎてからくらいがやばそうというイメージを持っていたがどうも違うみたいだ。
やっぱり痛みを数値化する事は難しい
それにしても、オーストラリア人は何かあるとすぐこのパナドールという薬を飲む人が多い。常に常備している人もいるくらいだ。
「結局病院に行ってもパナドールもらうだけだから、病院には行く必要ない!」
と言っている人もいた。
風邪とかひいても頭痛とかの痛さが勝るのだろうか?
感覚がいまいちよく分からない。
一番困った事は何度も何度もしつこくこのパナドールとやらを飲むように勧められた事。
まるで1日にこれだけぶん必ず消費しなければいけないとかの
ノルマがあるのだろうか?
とも考えてしまった。
製薬企業と病院の癒着の話はどこの国でもあるにはあるので、ひょっとしてと思う。
私は痛み止めにいい思い出がない。
剥離骨折した時に素直に飲んでいたら、胃が荒れて常に下痢状態になり食欲が減退してしまった経験があるからだ。
段々効かなくなって来てやめたら
今度は美味しい物を食べる事もできないなんて全く良い事がない。
面白かったのは、痛み止め飲むと下痢が止まらなくなるので迷惑をかけてしまうかもしれないという事を伝えたらどの看護師も一斉に痛み止めの事を言わなくなって笑ってしまった。
痛みレベル3でも相当苦しいとの話だけど、それは本当なのかと思っていた。
しかし夜になってその疑いも確信に変わった。
病室から女性の泣き叫ぶような声がしてくる。
「痛いーーー!!!痛いーーー!!!」
それで駆けつける看護師さんの声
「〇号室の〇〇さんって何錠服用してたっけ?」
「はいはい、大丈夫ですか?」
という会話が1時間おきぐらいに繰り返される。
その間にも大きな声で
「痛いーーー!!!痛いーーー!!!」
と泣き叫ぶ。
私の病室の近くで泣きわめいていたこの女性。
朝パートナーが病室に訪問して来たら直ぐに痛み止めを看護師さんに頼んで欲しいと大声で怒りながらわめいていた。
どうも夜じゅう薬を飲み過ぎたので、もう貰えなくなったようだ。
「あなたは日本人だから本当に痛みに強いわよね。我慢してない?大丈夫?」
と何度も尋ねられ、
「あなたぐらいの炎症反応が出ていたら、西洋人だったら泣き叫んで大変だから。」
と遠回しに愚痴られてしまった。
普段から自分の欲求に正直に生きている人種に属する人間は、感覚に敏感になるのだろうか?
良く考えてみたら、日本で生まれて我慢する事が多かった
自分の考えや気持ちを押し殺して来たことも多かった
痛みも脳に流れる電気信号で感知するんだから、
キツイ事を繰り返し経験してくると麻痺するのかもしれないなと思った。
ただ痛みや辛い事をあまり感じなくなると生きやすい気もするから何とも言えないけれど....
あんまり敏感だと生き辛いこともある厳しい時代だ。
ただそれと同時に、危険だと感じる事もある。
身体の声に敏感に反応できないと知らないうちに疲れが溜まってしまい後からガタが来ることも起こり得たり、少しの異変を見逃して病気の発見が遅れたりそんな事も起こる可能性があるからだ。
だから意識的に、体の声を聴く、
ゆっくりと呼吸をして自分の内部と向き合うのは本当に大事な事だ。
痛みに強いのかなと思って調子に乗っていたら、
新米の看護師に点滴の投与ミスされ
気づいたら大きな声を上げていて涙が気づかないうちに溢れ出た。
看護師が何人も駆けつけて来てちょっと面白かった。
「日本人がこんな声を上げるなんてどうしたの!」
とか言って婦長さんらしき人まで走り寄って背中をなぜてくれた。
医者まであとから青い顔で様子を見に来てかなりおかしな光景だった。
突拍子もない痛みで叫び声らしき音を出したらしい…
あの時の痛みレベルはいくつだったんだろう
1000くらいなんだろうか?
いや、分からない???
本当の痛みを感じると数値なんて分かるはずもない
どれくらい好きかとか嫌いかと聞かれて答えられない事と同じだ
そもそも判断基準を定めるのは結構難しい事なんだ
人の感覚を数値化するなんて可能なんだろうか?
やっぱり痛みを数値化する事は難しいな。
痛みに音楽がかなり効くかもしれないよという話
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