オーストラリアの借金文化
オーストラリア人はひょっとしたらお金がなくても全く気にしない人が多いのかもしれない。そういう風に考えるようになったのには理由がある。
例えば、
バレンタインデーなどの記念日に恋人に指輪を買ってプレゼントしようと良く男性がショーウィンドウを眺めている。遠巻きに見ても分かるぐらい深刻な表情をしてるし何度も財布を開けたり閉じたりしている人もいる。
それで、きっとメチャクチャ高い指輪なんだろうなと思って気になって前を通る時に値段を見るとビックリするぐらい安いのだ。相場としてはだいたいA＄200（約16500円ほど）だ。
何が言いたいかというと、２万円ほどの金額を直ぐに持ち合わせておらず買おうかどうか躊躇するような経済状態の人間がいるという事実。
他にも気になっていることがある。
休みの日になると、必ず数か月に１回は近所から家賃を払えないのでもう少し待って欲しいと家主に頼み込む声が聞こえてくる。
必死になっていて、尚且つ外で結構大きな声でやり合っているので、のんびり寝ていたのに目を覚ましてしまった事も何度あったか分からない。
大体は、今使ってしまって手持ちにないので次のお給料日が来るまで待って欲しいと頼み込んでいる。近所の人は１週間待って欲しいとかそういう風に毎度言っている。完全にオーストラリア人のアクセントと発音の英語が轟いていてシェアハウスだ。
シェアハウスで１週間ごとのレントが支払えないという事は、数万円の手持ちも持ち合わせていない事が分かる。
これはコロナウイルスのパンデミィックが始まる前からずっと続いている状態だ。
私だったら、手持ちに数万円も持ち合わせていなかったら凄く不安だからなんとかして稼ごうとするし、計算して節約したりやり繰りをし少しは余裕を作りたいと考える。
だけどこういう金がないような人に限って、例えばオーストラリアは外食が高いはずなのに毎日食べに行ったり新しい金目の物を購入したりなどしている。
先に述べた指輪を迷っていた男性は、ショーウインドウを見た後レストランに入っていったし、私の近所の人はお金がないのに新車で外出して行くのを目撃したことがある。
どうしてお金がないのに、物を購入したり外食したり出来るんだろうか？
それは、借金が簡単に可能だからだ！
オーストラリアではAfterpayというシステムがかなり使用されている。
これはどういうサービスかというと、正にこの会社のキャッチコピー
Buy now, pay latar
(今買って、後から支払う）
という事がそのままできてしまう。
このAfterpayのロゴはいろんな店のショーウインドーに貼ってあって、レジでもアフターペイですか？と尋ねられるぐらいだ。
どうもガーディアン紙によれば、クレジットカード決済よりもこのAfterpayの方が規制が緩く使いやすいのだという。高額利子のローン$35,000(およそ288万円）を銀行に借入がある女性でも使用可能だったと例が挙げられていた。
それに何と昨年は２倍の取引、11.1bn （約90.8億円）が行われている！
その一方でASIC（Australian Securities and Investments Commission)の調査によれば、Afterpay取引で2019年には＄43million(約35億円）、2020年には$59million(約48億円）以上の未払い金が発生したとの事だ。
規制が少なく簡単に後払いできるシステムだから手軽に使えてしまう。しかし、借金が膨らんだり生活困窮によりそれさえ支払えなくなってしまう人がこんなに多いオーストラリア。
オーストラリアは借金文化が根付いていると言えるのではないだろうか？
なのでRBA（Reserve Bank of Australia）のサイトで調べてみる事にした。
家計内におけるDTI ratio (総収入に対する債務の率）の分析が載っていたのだが、オーストラリアは大部分の国よりも率が上昇している事が確認されている。
Figure 1: Global Household Debt-to-income Ratios
Sources: Authors' calculations; National agencies; OECD
上のグラフ（Figure 1)は各国の総収入における家計債務率についてまとめたものだ。これを見ても分かるようにオーストラリアの家計債務率は各国の中央値（Median）よりも高いことが確認される。
また、家計内債務率におけるデーター分析によれば、過度の借り入れが将来的に大きなリスクになるとの結果が出ている。
上のRBAのデーター分析で指摘された家計内の過度の借り入れに対するリスクとAfterpayなどの後払いシステムで容易に借金している人がいる事実。
それに加え、生活の困窮により食費を削らざる負えなくなっているという話もよく聞く。
最近、外出したら閉まっている店も多く人道りも以前に比べてかなり少なく感じた。
オフィスの空きが沢山出ているという報道も良く流れているし、オーストラリア経済の先行きはかなり厳しいんではないかと感じている。
それになんやかんや言って、ここ西オーストラリアも留学生の収入源でかなり潤していた事も事実だから、このコロナウイルス騒ぎで財源を失っているので結構やばいんじゃないかと思っている。
それにお金が無くても気にせず容易に借金する人がいる
オーストラリアの借金文化
この新しい転機点に、オーストラリアも変化を求められている気がする。
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