ウイルスに侵された海老
私はオーストラリアの海が大好きだ。
旅行で西オーストラリアを初めて訪問して、その透明度と光を反射して織りなす青に感動してここにもっと滞在してみたいと思うようになった。
それが、私がオーストラリアに留学した理由のうちの一つだ。
パースには大きなスワンリバーという川が通っている。
その川も最初見たときは、綺麗で感動さえした。
そりゃあ、川も海と結果的に繋がっているから当たり前なのかもしれない。
すっかり綺麗な西オーストラリアの海、だけれど目に見えてスワンリバーの水質が都市開発によりすっかり悪くなって来て私は日に日に不安を覚えるようになってきた。
そんな矢先に、飛び込んできたニュース。
海老に白い斑点が出る病気が流行っているというのだ。
その名はWhite spot disease（ホワイトスポット病）と呼ばれるものだ。
どうも感染力に強いDNA型ウイルスによってこうなってしまうらしい。
白い斑点が出始めると、活力がなくなり繁殖行動も抑制される。
海老にとって、かなりつらい病気なんだろう。
参考URL：
https://www.outbreak.gov.au/current-responses-to-outbreaks/white-spot-disease
https://www.nature.com/articles/s41598-020-70435-x
発端は、2016年にサウスイーストクイ―ンズランドで病気の海老が発見された事に始まって、その後2016年後半から2017年の前半にかけてLogan River（ローガン川）の養殖場で感染確認されたことに起因する。その感染源からウイルスが漏れないように、バイオセキュリティー対策をしていた事は聞いているが結局はMoreton Bay(モートン湾）で養殖場以外からも野生の海老や蟹からウイルスが見つかってしまった。
参考URL：
https://www.outbreak.gov.au/current-responses-to-outbreaks/white-spot-disease
どうもウイルス性の病気なので、拡散しやすくなかなかコントロールが難しいようだ。
このくらいの時期と私がスワンリバーの汚染を気にし始めた時期がちょうど一致している。西オーストラリア州もシティーの中心にまでとおる川で昔は海老が取れたという話を聞いたことが頭をよぎった。
この感染症により、多数の漁師や養殖業者が職を失う事となってしまった。
それから、店頭に出回る海老は茹でられている物が多くなった。
当時、聞いた話では人間の身体には影響がないが生で食べてはいけないという事だった。
まあ、ウイルスが中にいるのだから当たり前と言っちゃ当たり前なのかもしれない。
それで以前に比べてシティーの大手スーパーマーケットでは、生で売っている海老の数が格段と少なくなった。
私自身お肉を食べた方が体調が良いので魚介売り場に行かなくなったせいと、このホワイトスポット病についてあまり聞かなくなった事で今海老の状態がどうなったのか全く気にかけていなかった。
もうウイルス性の感染症は消えたのだろうか？
根絶したとも聞いた気がする？
でも、それはどうして分かるんだろうか？
しかし、今年になってこんなニュースを見つけた。
以前もこの感染症が見つかった。同じモートン湾という場所で。。。
と、いう事は４年間もの間このウイルスが根絶できていなかったという事になるのではないか。DNA型でRNA型よりも変異が生じにくいにも関わらず。。。
いかにウイルスのコントロールが難しいかのいい例だ。
オーストラリア政府は2022年まで、強固なバイオセキュリティーコントロールを置くことに決めた。
分かりやすく記すと、海老のロックダウンといったところか？
ザクっとまとめると、４年間厳しい体制において根絶したと思っていたウイルスが結局０でなくて、またそれから２年間のロックダウンをすることになったと記せばわかりやすいんだろう。
何が言いたいかというと、かなり厳しくバイオセキュリティー法を作っても、その程度の事だけではウイルスは容易に消える事はないという事がこの例からも分かる。
かなり完璧なロックダウン一斉に全員を動かさないをすれば限りなく０になるが、それは可能なのか？
少しでも、抜け穴があれば必ず残りまたロックダウン、解放が繰り返されてしまう。封じ込め政策の限界が見える。
この場合は、養殖場から出る前に手だてを練るべきだった。
そして外に出たと分かった瞬間、データー収集および解析等を事細かに瞬時に行う努力はしたのだろうか？
そんな話は聞こえてこなかった。
やはり根絶は相当に難しいんだ。
そうなってくると、ウイルスの本質を知る必要がでてくる。
いったいどうすれば、このホワイトスポット病の原因であるウイルスWSSVをコントロールする事ができるんだろうか？
こんな記事を見つけた。
この記事によれば、海老のストレスを軽減する事がかなり重要と述べている。
中でも興味深かったのは、
非特異的免疫刺激剤やミネラルやビタミンを強化した餌を与える
急激な温度変化などの環境によるストレスを減らす
ライフサイクルをとる間、良い質の食を継続して摂取する
密な場所を避ける
どこか一か所に集める時には、PCR検査を行う。もし、陽性の場合はその個体を避ける。
根絶する事が難しいのであれば、ミネラルやビタミンが豊富なバランスがとれた質の良い食事をとりながら、ストレスがない生活を送り、蜜な場所を避ける。そして万が一、集まる必要がある時は検査により判別する。
その努力を海老に対して行う必要がある。
海老の事を考えていたら、
ふと私は海洋生物の気持ちになった。
海老の事について調べてたはずなのに、
今の自分の人生の送り方について考えてしまいました。
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