その具材は本当に美味しいですか?
オーストラリアの人達はBBQをする人達が多い。それに少し大きめの公共公園には、BBQができる設備が備わっている場所も多い。
ある日、学校の行事のために公園でBBQをする事になった。
私達グループの真ん前にオーストラリア人の2組のカップルがやって来た。
とても仲がよさそうな雰囲気だった。
オーストラリアで一般的にモテると言われている男性は女性をリードしようと頑張る場合が多いので、大体BBQでも彼女に良いところを見せようと男性がソーセージやお肉を焼いて振る舞う場合が多い。
男がこだわりのBBQっていうのが、カッコいいという風潮がある。
だから、このグループも男性が買ってきたソーセージを鉄板の上で焼き始めた。
それとほとんど同時ぐらいに、私達も準備したお肉とソーセージを焼き始めた。
私達、グループは順番に頬張り始めた。
が、しかしそのダブルデート組は楽しそうにおしゃべりしていて一向に食べる気配がない。イチャイチャし出して盛り上がって来て、キスの音がチュパチュパとうるさいので、またSEXかと思ったけれどそれはなくて安心した。
その間にも、鉄板の上のソーセージはどんどん焼けて来るのでこちらに煙がどんどん流れて来た。いっくら何でもこのままでは良くないから、誰か彼らにソーセージは大丈夫か尋ねようという話になった。でも、あんまり性的に盛り上がっているので声を掛けずらい。じゃんけんをして負けた子が彼らに鉄板の上を見るように促すことになった。
香港から来た若い子が負け、やっとの思いで尋ねたのだが全然気づかない。
多分チュパチュパ音の方が大きかったんだろう。
なので、リーダー格の子が見るに見かねて大きな声で彼らを呼んだ。
しかし、彼らの中の一人の反応は
「あー、知ってるよ。あと2分くらいしたら食べごろと思ってたけど。まあいっか、そんなに言うなら今確認してみるか!」
と言うものだった。
黒い煙が既に私たちの領域にまで立ち込めているのにである。
それで、男たちがソーセージの様子を確認し始めた。
「大丈夫でしたか?」と一人の子が尋ねたら、
なんと、
「あー、ちょっとだけ焼きすぎちゃったけど。これぐらいも良く焼けてておいしいんだよ。」
とトングで掴んだソーセージを私達に見せて来た!
!?!?!?
なんと、表面が焦げ焦げで真っ黒だ!!!
というより炭化している!!!
だけれど、彼女たちは
「わー、美味しそう。香ばしそうで!」
とか言っていて喜んでいる。
見た感じ真っ黒けなのに美味しそうに見えているなんて、日本のウェルダンとオーストラリアのウェルダンは感覚が違うのだろうかとカルチャーショックを受けた。
その後、男たちがホットドックを作り始めた!
スーパーの買い物袋から買ってきたばかりのパンとレタスが出てくる。
そこで、思わず目を疑った…。
買ってきたばかりのレタスをそのままもぎり砂が付いたままの状態でパンの上に乗せ、その上に例の黒いソーセージをのせてケチャップをかけて彼女たちに渡す。
彼女らは受け取って、嬉しそうに笑って頬張っている。
炭化したソーセージと砂付きレタスが具のホットドッグ
美味しいんだろうか…。
私は当時、このグループが特殊で味覚障害だと思っていたが後からもしかしたらそうではないんじゃないか?と考えるようになった。
大学にある、人気のバーガーショップ。いつも列になって大勢の人が並んでいる人気店だから卒業するまでに一度入っておこうと思ったある日。
ビーフバーガーを頼んで噛んでみたらジャリッと音がする。
なんだ?と思って中をみたら真っ黒けのハンバーグが顔を出してビックリした事がある。周りも私と同じものをオーダーしていたが全然気にせず美味しいね!とか言って食べている。なんか、おこげを通り越して少し苦い感じ。
日本のビーフはミディアムで食べるのが好きだった。でも、オーストラリアに来て初めてオージービーフを調理した時、ミディアムにしたら何でか分からないけれど不味くて食べられたものではなかった。赤みの多さが関係しているんだと思う。
でも、次の日それと全く同じビーフを焦げ目がつく手前くらいまで良く焼いてみたらビックリするくらい美味しくて、それから癖になってずっとお肉は良く焼いた状態で食べるようになった。
私のこの味覚の変化と、焦げ焦げの肉が好きなオージーの味覚の進化は多分少しだけ同じ方向を向いているんだろう。
今の私はといえば、焼き加減がミディアムで脂身が入った和牛を食べるように言われても胸やけと気持ち悪さが同時に襲ってきて食べることが出来なくなった。
やっぱり、お肉は赤身が最高!! 良く焼いて濃厚な肉の味、そして素材そのものを味わいたい!!と言う風に完全に進化した。環境に順応すると自分の味覚受容体まで進化するんだなと分かって本当に神秘だ。
人の美味しいの基準はどうやってできるんだろう?
味だって脳で感じる感覚なんだから、今までの記憶が支配するものなのかもしれない。
そう考えると、
その具材は本当に美味しいですか?
と尋ねればそれは人それぞれ違うんだろう。
要は、好みは人それぞれって事なんだと思う。
あの人は嫌いと言っても私は好き。
その反対に、あの人は好きでも私はそれが嫌い。
そういうのも味覚の面白いところなんだろう。
そして、その織りなされていく感覚。
味覚の基準は本当に曖昧なんだ…。
でも、いっくら何でも具として砂付きのレタスと炭化したソーセージが入ったホットドッグなんて食べる事はできない。
ただ一つ言えることは誰でも砂や炭を食べる可能性に満ちているということだ。
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