どん底で出会う人間
私はオーストラリアのパースでインフルエンザ後遺症により、どん底を味わった。
それは自分の意志に反して、己がコントロールできなくなるという地獄だ。
神経の炎症反応で正常に身体に電気が通っていないとでもいえば分かりやすいのだろうか。最初は少し筋肉痛かな?程度の痛みなのに、気づけば歩く事さえもままならなくなり関節に力が入らなくなってガクンと転んでしまう。そして、力が全く正常に伝わらないために転ぶと立ち上がれないそんな状態になった。
そんな状態になっているのに何故通院していたのか、今思い出しても謎だ。
血液検査を何度も受けているから、その時点で異常かは分かるはずなんだが、本当にやばい異常値になるまで入院させてもらえずずっと自分の身体に鞭打ちながら通院していた。
数m歩くだけでも体が痛くて冷汗が出るような状態で、無理しているので眩暈までして来る。普通であれば数10分で到着するような場所まで数時間前に家を出なければいけない。転ばないようにあちこちに捕まったり、立ち止まったりしながら、、まるで何百キロも歩いているように感じ気が遠くなる。
それに痛くて死んでしまいたくなる。
自殺も考えたが、そもそも手も力が上手く入らないから死ぬことさえ許されない。
泣く事くらいしかできなかった。
いつも転ばないように注意していたのだが、ある日バスに乗る時にふらついて足をガクッとさせてしまい起き上がれなくなってしまった。私は段差の所で転んで、足を擦りむいた。なんとか起き上がらなくてはいけない。手すりにつかまって、立ち上がろうとした、その時運転手が急発進し、私はバスの中を転がるように転んでしまった。
痛すぎて、もうどうにでもなればいい。
頭でもどっかに打ち付けてそのまま死ねたらいい。
そう思って諦めかけて、一瞬目を閉じた時、ドカドカと大きな音がして我に返った。
"Are you OK?"
大丈夫?
肩と腕が暖かくて、気づいたら身体を支えられていた。
大きな身体をしたオージーのお姉さんが私の顔を覗き込んでいる。
私の投げ出されたバッグも片方の肩にかけて持ってくれていた。
"Why didn't you stop? Didn't you see the girl? What the fuck are you thinking about?"
何で止まらないの?この子が見えなかったの?あんた!!いったい何考えてんの!!!
現実世界に引き戻されて、立ち上がらなきゃと思った。
支えられて何とか座席に着くことが出来た。
感謝の言葉を言いたかったのに、自分に精一杯でありがとうとしか言えなかった。
この経験の後から、バスに乗る事に恐怖を感じるようになりタクシーで病院まで向かう事にした。
いつも外出する前に事故って死ねればいいのにとかしょっちゅう思っていたのに実行しなかった自分。やろうと思えば簡単だっただろうに、早く走る車の中に不自由な状態で身を委ねれば簡単だっただろう、何度もシミュレーションしたのに結局実行しなかった自分。
やっぱり自分は生きていたい人間だったんだなとこの時分かった。
人は体に負荷がかかりすぎると、まともな考えさえできなくなるんだな。
自分の本心さえ分からなくなるんだな。
と本当に実感した。
オージーのお姉さんの優しさに触れて、我に返って思い出すことができた。
ちょっとした人の優しさで人が救われることもあるんだなと分かった。
あんまりどん底だと負のエネルギーに包まれてしまい、本当の自分の気持ちさえ分からなくなってしまう。そんな時、偽りのない真の優しさに会うと自分の心に灯りがともってまた自分を思い出すことができる。
このちょっとした事故から、私は病院に向かうまでになんとか死ねたらいいのにと思う事もなくなり、ポジティブな気持ちになった。
良く考えれば治したいから病院に通っている時点で、死にたい訳はないんだから、本当に変な思考が出来ていたんだと思う。
トラブルはこれだけではなく、タクシーで向かうようになってもやっぱり起こってしまう。
一度、運転手さんに足場が悪い所に降ろされてしまい、段差で足がガクンとなって立ち上がれなくなってしまった。この時は、バスで転んだ時よりももっと症状が悪化していて立ち上がる事がかなり難しい状態だった。
まずは這って掴まれるものの所まで行こう!
身体を地面に這わせようとした瞬間になんと向えのバーから、
6,7人のオージーが私の方に駆けよって来てくれた。
その日は金曜日だったから沢山のオージーが夕方近くからお酒を楽しんでいた。
彼らはあっという間に私を取り囲んで支えて立ち上がらせてくれた。
服装は、作業着、スーツ、普段着とバラバラだったので、別に示し合わせて助けに来たのではなく自発的に駆け寄ってきたことが分かった。
私は立ち上がる事に必死で気がまわらず、ようやく立ち上がってからお礼を言おうと思ったら、もうみんなバーに戻って行ってしまっていた。
彼らにとっては、困っている人を助けるのは当たり前で感謝されたいから、人を助けているわけではないんだと思う。
今思い出しても本当に胸がジーンとする。
私はこの後遺症によるどん底を経験したことで、オーストラリアにも人を思いやれる真の優しさを持つ人がいるという事を知る事ができた。それに、困っている人に自然と手を差し伸べる事ができる人にも出会う事ができた。
嫌な経験だったけれど、私がどん底になったからこそ出会えたオージー達と考えれば、まんざら悪い事ばかりではなかったと思っている。
それにどん底を味わうと自分がどういう人間なのか分からなくなる瞬間がある。
でも結局は自分の根幹みたいな物があって、それに反しているからこそ苦しさや辛さが押し寄せてくるという事も理解できた。
苦しさや辛さは自分が心身ともに生きていないから感じるということ、、
結局、自分は死にたくなくてちゃんと生きていたかった、、
他者がいて初めて自分を認識できるけど、
結局自分自身を持っていないと死んでしまうという事も分かった。
どん底で人間に出会えて本当に良かった!
鎮痛作用があるアロマについて紹介します!
↓
アロマオイル ペパーミント 10ml エッセンシャルオイル 【 AEAJ認定表示基準認定精油 NAGOMI PURE 精油 ミント 薄荷 ハッカ はっか CONVOIL pure10m 】 価格:347円 |
【只今のお試し価格セール/お一人様1本限定】ネロリ 2MLエッセンシャルオイル/精油/アロマオイル 価格:1,925円 |